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「奥様はネットワーカ」 ☆×8 講談社ノベルス
某国立大学工学部で多発する暴行傷害事件。
化学工学科秘書のスージィこと内野知佳の周辺でも不審な出来事が連続し、友人のルナも被害者となる。
事件は連続殺人に発展する。6人の人物の内、犯人は一体誰なのか……。
この人の作品を読んだのは初めてなのですが、なかなかに楽しめました。
なるほど、と納得させられる叙述トリックでした。
ただ、途中途中にある詩のようなものは、余分だった気がします。
この人の書いたものをもっと読んでみたいとおもいました。
「すべてがFになる」 ☆×9 講談社文庫
孤島のハイテク研究所で、隔離された密室から死体が姿を現す。その謎に、犀川と萌絵が挑む。
後半に重点を置く僕としては、後半部の詰めは圧倒されるものでした。なので評価高めです。ただ、やっぱりミステリの
避けられない難題として、前半部のだれがあると思います。それでも、描写と会話で読ませてくれるので、それほど
退屈にはなりませんでした。かなり纏まっていて、いいと思います。ただ、ミステリはあまり読まないので慣れず読むのに
時間がかかってしまいました。まあ後半部の良さで満足できた作品でした。
「冷たい密室と博士たち」 ☆×7 講談社ノベルス
仮説とそれの否定が繰り返されるのですが、それの観点がすごいですね。多少飽きがきたところもありましたが、後半はやはり面白い。「すべてがFになる」のようなわかりやすいすごさの方が個人的には好きなのですが、こういうのもいいです。
「笑わない数学者」 ☆×7 講談社ノベルス
以前読んだミステリであったトリックとまったく同じだったので最初からほぼトリックが解かった状態で読んでいたのですが、ただ事件を解決していくだけでなく、シリーズものとして犀川や萌絵が悩んだり葛藤したり、そういう人物の動きもあって退屈しませんでした。
トリックを知らないで読めばミステリとしても楽しめると思います。
追記。どうやらこれはトリック自体はわざと誰にでもわかるようになっているようです。それでいて、分かった上での真のトリックに気付ける人が、賢い読者なのだと。僕はとっても浅はかな読者だったわけです。なんだかとても悔しい。今度からこの人の本には全力で取り組もう、と決意したのでした(それでも多分見抜けないとは思いますけど)。
「詩的私的ジャック」 ☆×7 講談社ノベルス
むしろ事件の方より二人の動向にきがいって、それはそれで楽しめました。人間が明確に描かれていて、分かりやすいというか読み取りやすくてのめり込めます。それにしても続きが気になるシリーズです。
「封印再度」 ☆×7 講談社ノベルス
あまり派手な話ではないけど、静かに染みる、そんな印象。僕としてはつかず離れずの二人の関係が好きなので、このまま微笑ましい感じでいってほしいのですが。このシリーズは安心して読めるレベルなので、展開を考えたりしなくても十分楽しめます。
「幻惑の死と使途」 ☆×7 講談社ノベルス
犯人の予想が早々とついたのでなんだかがっかりしていたのですが、トリックは楽しめました。
このシリーズの安定した面白さには驚かされます。多分、事件というものがこの小説の主要キャラ、特に犀川の中でたいした重みがなく、日常から逸脱していないのが変化を無くしているのではないかと。変化がなければ物語に当たりはずれがでることはないのです。
「夏のレプリカ」 ☆×8 講談社ノベルス
キャラで読ませるタイプの小説なので仕方がないけれど、犀川がわざわざでてくる必要はないかなあなんて思った。ネタバレ気味になってしまいますが、杜萌主観が萌主体に切り替わったのを不思議に思って、何でなのか考えていたのですが、結局わからず読み進めていくとそれは事件にも少し関わることだんですが、このシリーズは毎回思うけど、親切だよなぁ。いちいち思いつきそうな仮説を丁寧に否定して、本当の筋道への道をならしてくれて、少し頭の回転の速い人ならわかっちゃうんじゃないかってくらいに。やられた! という感覚を味あわせてくれるのもすごいです。易しいのに、驚かされる。
シリーズの中でもかなりのいい出来じゃないかなあと個人的には思っています。
「今はもうない」 ☆×7 講談社ノベルス
まったく持って邪道というほかないのですが、僕はミステリ小説を読むとき、あまり謎解きには関心を置きません。叙述トリックの気配がすれば、オチを幾通りも予想してみないと気がすまないのですが、物理的なトリックなんかは、あまり気にならないのです。最低限の理解で、トリックはただ受動的に。
ですのでこの小説では、叙述の方は早い段階でわかったのですが、トリックは最後まで「ふうん……」という程度で、そもそも僕がこのシリーズにそういった要素をあまり期待していないということを前提に感想といきます。
楽しんで読めるのが犀川と萌絵の会話くらいで、過去の事件はどうにも、主観の人物が好きになれないというか、肌に合いませんでした。やっぱり犀川がいないと駄目ですね。犀川はどう考えても森先生が投射されていると思うので、台詞の頭の使い方が違いますから。
「数奇にして模型」 ☆× 講談社ノベルス
未読。
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